けれど 別れには
悲しみを超えて
雨のしずくのその先に落ちる
したたる夢の明るさ
取り残された人の
ここにいることの確かさ
何を失ったか
わからないままに
歩いてきた足跡のままに
白い霧がわたしたちを癒す
その上にある
満天の星
もの言わぬ
地上の紫陽花
愛していたコーヒーカップ
鳴り止んだスマートフォン
永遠に笑顔の写真
時が止まり
それでも 小鳥たちは鳴き
緑の枝の風のうなり
別れた人の声が
遠くから聴こえる
「地上とは思い出ならずや」
この甘味さを誰が知るだろう