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Lyrics365 > 小室等 > 見えない配達夫

見えない配達夫

"見えない配達夫" Lyrics by 小室等

三月 桃の花はひらき

五月 藤の花々はいっせいに乱れ

九月 葡萄の棚に葡萄は重く

十一月 青い蜜柑は熟れはじめる

地の下には少しまぬけな配達夫がいて

帽子をあみだにペダルをふんでいるのだろう

かれらは伝える 根から根へ

逝きやすい季節のこころを

世界中の桃の木に 世界中のレモンの木に

すべての植物たちのもとへ

どっさりの手紙 どっさりの指令

かれらもまごつく とりわけ春と秋には

えんどうの花の咲くときや

どんぐりの実の落ちるときが

北と南で少しづつずれたりするのも

きっとそのせいにちがいない

秋のしだいに深まってゆく朝

いちぢくをもいでいると

古参の配達夫に叱られている

へまなアルバイト達の気配があった

三月 雛のあられを切り

五月 メーデーのうた巷にながれ

九月 稲と台風とをやぶにらみ

十一月 あまたの若者があまたの娘と盃を交す

地の上にも国籍不明の郵便局があって

見えない配達夫がとても律義に走っている

かれらは伝える ひとびとへ

逝きやすい時代のこころを

世界中の窓々に 世界中の扉々に

すべての民族の朝と夜とに

どっさりの暗示 どっさりの警告

かれらもまごつく 大戦の後や 荒廃の地では

ルネッサンスの花咲くときや

革命の実のみのるときが

北と南で少しづつずれたりするのも

きっとそのせいにちがいない

未知の年があける朝

じっとまぶたをあわせると

虚無を肥料に咲き出ようとする

人間たちの花々もあった

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Tags: 小室等

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