Tag: キタニタツヤ

まなざしは光

雨降り、小さな傘に身を隠す僕に 薄明かりがひとすじ またひとつ諦める、身体は軽くなる 足元に引いた線の向こうから手を振る人 きみが笑うだけでどうしてこんなにも 過去の自分がほどかれるのだろう この感情には名前があるらしい 心臓がうるさい きみと目があうたび、指が触れあうたび 僕の奥の奥まで見つけてもらえたような気がした 言葉を交わすたび、同じ景色を見るたび 僕を照らしてくれるきみのこと、もっと知りたくなるよ あの入道雲さえ突き破って真っ直ぐ泳ぎ渡ってきた 眩しくて、でもあたたかな きみのまなざしは光だ 傷つくことも、傷つけられることも 足元に引いた線の中で逃げてきたけど 雨降り、小さな傘に身を隠してそぼ濡れていた 僕をそっと暖めるような光がさす 目を細めて見上げた先 ...

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あなたのことをおしえて

あなたのことをおしえて 好きな音楽とか、嫌いな人とか あなたの未来を見せて 守りたいもの、抗いたいこと 36度の受動態が仮面の下で泣いている あなたはもう何も差し出さなくてもいいと思うよ ささやかでも世界を憎むことを許してあげよう だから、 どうか生きて、笑って、泣いて 少しでも多く 胸の奥、眠っている壮大なストーリー 僕に見せてくれ ありったけの悲しみ全部 この歌に蒔いた 水を遣って、その涙で あなたのことをおしえて あなたの好きな言葉で どうか生きて、笑って、泣いて 少しでも多く 胸の奥、眠っている壮大なストーリー ...

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ユーモア

乾いた空に雨雲が押し寄せるように 涙があふれそうになる夜 きみのおどけた声がききたい ぬるい陽だまりをひとりで歩いて 飼い慣らせないままのさびしさがある 強い風の日の急ぎ足の雲に 追いつくようにきみは走り去った 波の音が永遠に響く海 歌うように跳ねる砂が足を舐める 乾いた空に雨雲が押し寄せるように 涙があふれそうになる夜 きみのおどけた声がききたい やさしいユーモアをもっと教えて くだらないジョークをいくつもまじえて 悲しい話をうまいことごまかす 散らかる心の部屋を片付けて 余白を生むようにきみの詩は在った 僕たちは永遠でいられない それでも言葉の残響は名残る 束ねた花に煩いがほどけていくように ...

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ウィスパー

誰にも聞こえない叫びを 友だちさえ知らない、透き通る翼を 隠していた 溶けてく飴玉、寂しくて 大人へと近づく つま先で立ってる あたたかな太陽さえ眩しくて疎ましく思えてしまうこと 自分だけが間違いを抱えてる気がして悲しくもなるけど 弱さを抱えた僕たちに でも孤独を愛せる僕たちに おまじないのメロディをくれるような 秘密の逃げ場所があるよ 教科書を閉じた僕たちに 悪いことを知りたい僕たちに 自分らしさのリズムをくれるような 小さく響くささやきを いつも 泣いている君の目頭を拭って 笑っている君の今を彩って いつも ...

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