たった一人の理解者
芝居がしたい。ただそれだけの思いで、 ビロードウェイでトップクラスの劇団、GOD座の門を叩いた。 稽古場には終始緊張感が漂い、ピリピリした空気が流れていた。 「ジャマ……」 「すいません」 「新入り?」 「はい。高遠丞です。よろしくお願いします!」 「あー、自己紹介とかいいや。興味ないから」 「でも、これから一緒に芝居を作っていくわけだし……」 「友達が欲しいの? だったらよそに行けば?」 「いえ、そういうことじゃ……」 「トップに立つのは僕だから。ジャマだけはするな」 周りはすべて蹴落とすべきライバル…… 慣れ合いや仲間意識など、ここには存在しない……。 共にオーディションを受けた紬の姿はない。 後悔や苛立ち、虚しさが込み上げる……。 だが、大好きな芝居をするため、俺は無理矢理前に進んだ。 そして、入団から一年経った頃……。 「丞の芝居は堂々としていて華がある。GOD座のセンターにふさわしい」 「……ありがとうございます」 ...
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