Tag: さとう。

アマレット

ああ、今なら少しわかる 君が海を選んだ理由 揺れる水面に浮かぶ歪んだ月に その想いを重ねたんだろう ああ、今更少し触れる ことも許されちゃいないんだろう そんな遠くへ行くなよ、君の酔いが 冷めるまでは付き合うから 沈まぬまま 彷徨う光が まるで今の2人みたい 思うだけで 飲み込んだ言葉は どこかほろ苦い あの月が 帰りたがったら わかっているだろう、これで終わりだね ほら君も 帰るべき場所が あると思うから もう、会えない 守れない約束ばかりを 君にさせてしまったね 寄せては返す波が隠した 君の啜り泣き ...

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朗朗

開いたページ 並ぶ文字 右から左 目でなぞる言葉たちに 試されている 熱を持つ 喉の奥 今も僕の背中を叩く問いかけが 頭を駆け巡る 「それでいいなら、それでいいけど そうじゃないなら、今、覚悟を」 聞こえた声は紛れもない いつかの僕の声だ 誰かの言葉でも 構わない 伝えるんだ この声に意味をくれたあの人へ 誰かの想いも 連れて行ける 待っていて この声を 想いを 僕を 信じてよ 溢れて止まらない感情とは裏腹 乾いてしかたない 潤し方も わからないまま 遠くへ来てしまった 闇の中 その声だけが頼り ...

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食卓

誰かの食べかけみたいな人生だ きっとこの景色もあの景色もおさがりだな 噛み続けたガムみたいな毎日だ もうこの言葉もあの言葉も 聞き飽きて言い飽きている 食卓に並べられた平凡を ずっと眺めていただけだった 何気なく朝が来るその奇跡に 手を合わすこともせずに 噛み締めることもせずに 味気ないと愚痴って 誰かのせいにして ほら、ほら、また勝手に その口を閉じた 一つ残らずに平らげてみたいよ 端っこに避けたこの虚しさも、涙も 下手くそに生き足掻いてるんだよ 今日も、一人、 手を合わせる、命に 誰も教えてくれなかったから ...

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振り返る街

振り返る街 あいつはもう戻らないらしい 噂話 乾いた口 振り返る街 青春を縛っていた縄は ひとつだけ 死なないように 振り返る街 テレビは他人事でムカつく 何がわかる お前なんかに 振り返る街 寂しいとか本気で思った 夜を超え 出会えた 2人だった 見てみたいものは全部見たい いつかなにかを残したい 抱きしめたところで何もなかったぜ 振り返る街 あいつはもう戻らないらしい 噂話 乾いた口 振り返る街 踏切越し本気で叫んだ 言葉が 君にも 聞こえてたらな 繰り返す街 振り返る街

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マイク前

「勝ち負けじゃない」とか 言い訳はすんな、文字と睨めっこ開始 対峙する声に尻込み、すくむ脚 騒がしい胸の内 静寂よりはマシ 腹を括れよ、ここは荊棘道 あああああ 声は出るか? あああああ 喉の奥が あああああ 焼けるような 焦燥に あああああ 騙されんな あああああ 一語一句見落とすな 言葉はお前そのものだ 今、なんのために? ただ、なんのために? 言葉で傷つけてきた過去もあったろ それでも なんのために? ただ、誰のために? わかりたいから立つんだ、マイク前 「こんなはずじゃない」とかもう 知ったこっちゃない 想定外も大歓迎したい 後退も辞退もできやしない ...

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楽屋

ゴミ収集車の音 始発はとっくに動いている 線路沿い 1K この部屋だけが知る泣き声 布団に潜っていても 自転する音が迫ってくる 揺すられたってどうにもできない 身体に根っこが生えたみたい ここから出れない 行けない ごめんなさい 迷惑かけないように潜んでる 必要とされたいとかじゃないけど 用済みの目張りが痛い 出囃子が聞こえないから まだこの部屋から出れないのさ 僕が悪い訳じゃないと 呟いても やっぱり 虚しい 惨めになる 追いつくようにもがく 電車が追い打ちをかけてくる 線路沿い 1K 孤独と寄り添うには広すぎる ドラマや映画の世界では よくある 心踊らされるBGM ...

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見かけなくなった猫

見かけなくなった猫 気づけばいつでも探してしまう 見かけなくなった猫 君のことを歌っている 撫でさせてもらえたことなどないけれど あの色模様が記憶から消せない 見かけなくなった猫 元気ならばそれでいい 嫌な話を聞いたよ 最期は一人を望むのね 名前も知らないけど あの道を覗いてしまう 抜き足 差し足 忍び足 あの手この手で近づくけれど 猫缶 煮干しに 猫じゃらし ああ、仲良くなれぬまま 名前も知らない猫 どこかで元気でやってるかい 次会う時はどうか 撫でさせておくれ ...

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