Tag: 小林私

秋晴れ

なにも見えなくなったら極彩色の幻ばかり 目について仕方ないからひとまず飛びついた 発熱が脳を苛んで視界がぼやんでいる西瓜の種 命と息が銀メダル 茹だる卵、元には戻れな あぶれた感情を押し込めておく皿を洗ってない なんだ皆とは違うらしい それが嬉しい夜は越えてしまった日々を 肌寒くなった台所には飲みかけのペットボトル 根が腐れかけてるからでも朝は寝てたから二週間くらいこのまま 秋晴れじゃ天は高くて死が遠いような感覚がする それが却って死にたいとかではなく何もかも知らないままでいたい あぶく満つこの部屋を舞う埃や諸税を払ってない wander 銀河からこの惑星へと 喜ばしい意味も嫌う間に あの細くて弛んだ糸を張り詰めて研ぎ澄ませて赤ぎれの指で触って ほら遠退いてく理解という名の街に向けて もっと平易な言葉で語って あぶれた感情を押し込めておく皿を洗ってない あぶく満つこの部屋を舞う埃や諸税を払ってない 荒ぶれる道を望んでないし体はもう秋を感じてない 外は寒いが誰も入れるな それが正しいとは思えないでいるだけの日々を健やかに

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落日

気味が悪いことばっかり見て気持ちが悪くなったって自業自得 人見知り特有のぎこちなさは瞳を覗き込めば分かるでしょ ありふれた魂の形はその分誰にでも嵌まるパズルのピース いつどこでも同じ顔をしても好ましい 限られた残り火が消える風の音がこだまする宣い合う窓外の喧騒 あ、朝の夢がまた目蓋に残る真昼に浮かぶ白い切れ端 あみだで決めたみたいな人生に意味があると信じている日々が 今ここで変わることを恐れるのならきっと惜しいものに 満ち溢れたなんて思ってた、どうせ大してぱっとしないお宝 貴方の声で操作して、体は早く鈍化して それから、どう歩いていけばいいか分からなくなった ひどく軽い言葉尻だけ腐したくなるような日が増え続けるのは 理由もない妬みや怒りでもない、汚れた朝の悪あがき ありふれた魂の形が外殻を象る化け物なら 今、目の奥から針がとんがって飛び出してくる 浮き彫りになるほど名前を持たない病でさえ 液体になって下に落ちるだけ 死にたいくらいじゃないけどずっと息がし辛くて世界が狭い いの一番走ってみたら転け気付けば最後尾、もう新刊はない とてつもない隕石が降って溜め込んだ本を燃やしても ...

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冷たい酸素

片付かない部屋でまたベルが鳴り、 驚いて水を溢して床が濡れる 足の裏に破いた封筒の切れ端が張り付いて 苛立ちがどうしようもなくて顔を殴った 日々は冴えもないし意味も別にないし 温度の機微を感じられるほど肌は敏感じゃないし 要すれば日記には日付だけ、髪は脂ぎったオードトワレ 頭のなか俺に似ない俺が笑ってるからまあいいか 知らない速度の鼓動に焦っても ろくに言えない、恥ずかしい 外の空気を吸ってなんか変わればと思っても 冷たい酸素が肺を満たしていく 寒い 言葉が象った形の真ん中を知りたいだけ ブルーライトで目が焼けて、厚い空気の層に阻まれて 青いような暗いような、少なくとも遠い染み 水が上から下へ循環する 俺は下から下へと一直線 その先は善と信じてる、この息はもっと楽になる 見えない欲の底を漁ってもべつに消えないから もういっそ無視していたい 傷ばかり触っていても治らないよ、そんなの分かってる ...

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加速

雲は水飛沫のように地を這い、揺られながら加速していく 暮らしは観測と共に生成されて消えていく転生 瞳孔開いたまんま光を見ることは叶わないし 本能さえ見事手中に収めたくなるから 鈍行の汽車の車掌は全てを見たと勘違いしている 光速で置き去る暗がりにしかないものがある きっと俺に合う薬はあるし、粉っぽくなければまだ飲める ひた隠しにした恥ずかしい振る舞い、君だけに教えてあげる 雲は水飛沫のように地を這い、揺られながら加速していく 暮らしは観測と共に生成されて消えていく転生 今なにと目が合ったことすら忘れるように早く動く 暮らしの原則が緩く破られるまま過ぎていく 愛情が朝日より眩しかったら その身を焦がす熱でさえも疎ましい眼差し 正常で完全な幸せに辿り着く為の道が海より暗くて怖いなら 上手くいけばいくほどかつて見たものと同様に泥化した 君の手の形と混ざり合う朝を加速させて想定の夜へ 慣れる歩みを止めないで荒ぶれる感情の波を沈め 分かりきった希望へと速度を上げて その頬が切れるような風が吹いているなら、 ...

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