Tag: 日食なつこ

閃光弾とハレーション

真夜中に火がついちゃって ほとばしるまま吠えている 一度でも書いたら消せぬペンで 戻れぬ道に名を刻む 追い抜けば追い抜かれちゃって 最初から殺気立っている 一度でも屈したらそれで最後 絶えず声を張り上げている 愛し優しい人のそばで 揺れる花にはきっと成れぬ 勝つか負けるかそれ以外がないこの命の価値を問う 閃光弾のように今夜光を伴い飛んだとして 高さも距離も角度も覚悟も何ひとつ曖昧なままで 飛び込むあのハレーション もう誰も疑わない光放って 眩むことない僕でありたい 幸福は二の次、で良きゃおいで 例えば僕が本日 起こさなかった革命は そのうちどっかで誰かが代打を打つだけ 僕じゃなくても いいんだろうけど どうせだったら だったら なんて、夢見ただけさ まだ なんにも成していない 々 々んだ 焦燥 まだ なんにも手にしていない 々 生きてるだけでいいって そうじゃないんだ 々 々 愛し優しい人のそばで 揺れる花にはついぞ成れず 朽ちては落ちていく自らのため あとは燃えてゆこう ...

Read moreDetails

vacancy

成し遂げた夢が 素晴らしければそうであるほど その先の道の果てしなさに お前はいつか迷うだろう 張り上げた声が 遠く響けばそうであるほど その先に襲いくる沈黙に お前はきっと負けるだろう 取り合った手が 通じ合っていればそうであるほど それをほどいた後の虚しさに お前は打ちのめされるだろう 高鳴った胸が 冷めやらねばそうであるほど 寄り添ってくれはしない世界を 俺たちは恨んでしまうだろう ここで立ち止まれたらどんなに幸福か 絵空事を浮かべては吹き消して 時間だ 征こうか ここから先は互いの地平の向こうへ 勝ち取った旗が 大勢を導くならそうであるほど それを掲げることの重たさに お前は潰されかけるだろう 成し遂げた夢は いつ何時牙を剥くとも知れず それを抱いてあてなき荒野に立つ 俺たちはどこまで征くんだろう ここで眠れたならどれほど幸福か 踏み留まりまた朝を迎えてしまって ほらな、決まり悪そうに笑う互いの今日を思って ここで終われたならどんなに幸福か ほつれた先にまだ続いていく ...

Read moreDetails

julep-ment flight

海岸線 誰より遅い速度でゆく 季節は春 にはちょっと早い 枯れた草と砂と重い潮風が似合う 色の淡い 君という存在 放っておかれたい気持ち携えて飛ぶ 秘密のフライト 高鳴るテイクオフ 成層圏 高く透きとおってゆくsunrise 長いこと 待ちわびた空だ はじめまして、僕はずっと知っていたけど 不純な動機を右手に ちょっと雲の上までひとっ飛び 遠くまでゆける羽になるんならば問題はないや 模範解答には程遠い 僕は浅ましい愛で忙しい 君もきっと似た生き物 なぁ近くにいるんだろう? 白昼夢 さめて柔いヘーゼルに溶ける 瞳でsmirk 寝ころんだまま 成層圏 甘く香りたつままにsunset あれは昨日 越えてきた空だ 調子はどうだい?今から泳ぎに行かないかい? 不埒な夢を左手に ちょっと海の底までひと泳ぎ 息継ぎなしでゆけるなら理由は何だっていいや 模範解答には程遠い 僕は罪深い恋で忙しい 君もきっと似た生き物 なぁ近くにいるんだろう? 不純な動機を右手に ちょっと雲の上までひとっ飛び 遠くまでゆける羽になるんならば問題はないや 模範解答には程遠い 僕は浅ましい愛で忙しい 君もきっと似た生き物 なぁ近くにいるんだろう? ...

Read moreDetails

夜刀神

毎晩頭を垂れては よろずの神に乞い願っている 今宵でこんな苦しみは どうか終わらせてはくれまいかと さりとて僕の徳が足らんか はたまた贄のひとつも欲しいか 毎晩頭を垂れても どこの神の救いもご加護もねぇんだ 人間切羽詰まればそう、いとも容易く踏み外せるのさ 限界を超えてしまえばもう、堰を切って溢るる凶暴な性 猥雑な人の皮を脱ぎ捨て 離脱していく罪悪を得る 今宵の僕などいい事例 御覧じろ世紀の転落劇 こんな状況わかってくんない神様なんか用はない 僕の絶望を超える絶望で いっそ全部飲み干してくれ 行き場のない吐き出せない言葉は鱗まとって大地を削って 見通せない決められない未来はとぐろを巻いて暗雲と化す 満たされないまだ足りない熱が火照り火照って火を吹いて いよいよ夜刀神と化し夜空を割り出でる 人間やめてしまってさ 人でなしと呼ばれているんだが あまりに僕の怨みつらみ 黒くギラついて世の目を引くようだ 気づけば僕を遠巻きに囲む 群衆の目には羨望の影 誘い込むように伸ばす手は 鎌首もたげた蛇のようだ 癒すだけ与えるだけの神様なんか用はない あらゆる絶望を超える絶望 ひと思いに飲み干してくれ ...

Read moreDetails

五月雨十六夜七ツ星

この身はどこにも行けやしない そんな夏が始まる 夏の影に浸食される街 コントラストに目が眩んでゆく 立ち昇る誰かの光に上書きされてしまわないように 夏の影に追い立てられる街 夢なき者はここじゃ亡霊さ ことあるごと僕が誰かを確かめても見失ってしまう 逃げ込んだ高架下 ざわついた皮膚の下 熱い息を吐いた ひそやかに魔が差した ここに来たこと後悔した? そんなわけはないんだ たった1人で何かをまだ信じている 何ひとつ諦めないでくれよ僕 握った手には爪の痕 その痛みでためらいを退ける ただ風に吹かれてる 高い空夢だけ先にゆかせ この身はどこにも行けやしない そんな夏が始まる 夏の影に浸食される街 善も悪も溶けて混ざってゆく 心の美しさ醜さは面には出てこねぇから気楽だよな 誤魔かされて右 いざなわれて左 誰も彼も迷える亡霊だ その手を取り迎合してあげる必要もないんだ たった1人で何かに抗っている 何ひとつも許さないでいたい僕 睨んだ目には優しさなど まるで的外れでまた逃げ延びる ただ風と並んでゆく 誰もまだ知らない大地を目指す 届いた時は世界の果て 独り朽ちる夢を見る 夕焼けないで堕ちてゆけよ 僕らはずっと悪天候を望んでいる ...

Read moreDetails

ラスティランド

壊れてはいないからという理由だけで 存在をし続けるいつかの夢の名残り その場所にあるものはとうに皆朽ちてしまった 触れてももう動かない ただ佇むだけ もう乗せてくれることはないのね もう遊んでくれることはないのね もう歌ってくれることはないのね もう手をつないでくれる日は来ないのね 色鮮やかなのはもう思い出だけなんだな 全て忘れ止まる時をただ待つラスティランド 僕だけが未来に往けるその悲しさを こうしてここで泣いてみてももう戻らない Rusty Land 行き場のない寂寞は放っておいた不在の証明 見返りのない無償の愛をふいにして 僕が大きくなったからかい ひとりで遠くへ行ったからかい いつからか忘れていたからかい もう手をつないでくれる日は来ないのかい 色鮮やかなのはもう思い出だけなんだな 錆びて剥がれ落ちるさだめを受け入れたラスティランド 僕だけが未来を描けるその虚しさを こうして語りかけてみてももう分からない Rusty Land ...

Read moreDetails

どっか遠くまで

言葉もないまま連れ立っていく 道すがら気づく野ざらしの幸福 それはいつか夢にまで見てた風景 誰にも言わないでポケットにしまっていく 晴れでも雨でもシャッターを切る 朝でも夜でも誰かの声がする それはいつか恐れたあたたかい場所 バレてしまわぬように 逃げ出さないように 「随分と贅沢をしているな」 遠い日の僕はそう嘲笑うだろう けなす指先には無数の傷痕 本当は人を信じてみたかった 「どっか遠くまでゆけますように」「ひとりくらいなら愛せますように」 日々身勝手に傷ついてた あの日の僕の願いはそれだけで ずっと遠くまで来ていたとして 欲しがった以上の今日だとして 何ひとつもう要らないとは それでも言えずに呆れているんだ 木陰のない夏を連れ立っていく 雪のない冬の朝を分け合っている どれもいつか夢と化して消える風景 その時が来る前に泣いてしまわぬように 「どっか遠くまでゆくのがいつで、ひとりじゃないなら、ねぇ誰とどこで」 日々世界に怯えて泣いてる あの日の僕が答えを急かすから ちょっと待ってと言うに言えなくて なんとなくやれているようなフリで 何ひとつまだ成せないまま それでも時計は止めずにいるんだ 「どっか遠くまでゆけますように」「ひとりくらいなら愛せますように」 ...

Read moreDetails

i

風通しのいい日々だ うすら寒い懐ふたつ 僕とお前 指差し合い 笑っても解決しないことだらけ 傷を舐め合う より他なく 最善など 取れるわけなく 妥協に妥協を重ねていた あの日々は遠く苦く眩しい 見通しの悪い日々に うすら寒い約束ひとつ 僕とお前だけに通じる 暗号は増えても金にはならず いつの日かが いつなのか 結んだ誓いは 生きているか 挫折に挫折を重ねていた あの日々は遠く苦く眩しい あのさ、僕はさ、 片付いてない散らかり倒したお前のほうがよかったのに 随分すっきりとしちゃってまぁ世の中めいてかっこいいな そう言いたい言えないまま僕の目の前を過ぎ去ってゆく 今日の英雄 かつてのお前に浴びせた賞賛 面影は皆無 切れ味の悪い日々に やたらと丈夫な身体ふたつ 胃袋に入りゃ同じだと 刻んで炒めた期限切れの未来 ところがお前はいつのまに なんだか遠いところにいて 食べ方も生き方も整えて 通じない言葉が増えてゆき 綺麗じゃないつぎはぎだらけのお前のほうがよかったのに 随分研ぎ澄まされちゃってまぁ憧れめいてかっこいいな そう言いたい言えないまま僕だけが思い出になってゆく ...

Read moreDetails

leeway

leeway 立ってらんないほどの強い風に煽られ Now is the time 今日が恐らくその日なんだと理解する leeway 急拵えだったにしてはよく出来た Now is the time 鳥の巣みたいなこの居場所を振り返る 風圧と向きは日々変わって ついていく以外の生き方がない 僕をどうか赦さないで これ以上与えないで 飛び立ちたくもないのに飛んだ 羽ばたきで巣はほころび落ちた 僕がやってしまったのだろうか ただこぼれた涙とリフ 引き止める君の声を聞いた 揺らげない薄情さを恨んだ それら全部はもう僕の意思だ ただ飛ぼう今は、さらば leeway 飛べば飛んだで鋭い風に貫かれ Leave away 孤独を愛す業の深さを理解する 風圧くらいじゃ落ちない巣を作ったつもりで何度蹴落とした ...

Read moreDetails

風、花、ノイズ、街

真昼の 白い光を浴びて ガードレール発光中 等間隔 この街を測るものさしのようだ 終わらない 都市開発見守って 交互通行を待つ 秒、10、9、8、7、この街の寿命を数えるようだ 風、花、ノイズ、街、君、僕、世界、 とかが揃って 整って easygoing Saturday forenoon 全てが上手くゆく幻に ここに来てまだ 囚われている 横目でちらと交わし合う この愛の明日も たかが知れてる 全てが上手くゆくわけないと 悟るにはでも まだ若すぎる 灯る青は鮮やかに 2人急かすUターン禁止のGO Sign 左手にフラペチーノ 右手に君 音を立てて吸うストロー 鳴り響けば もう春だ 風、花、ノイズ、街、君、僕、世界、 ここに揃って 整って easygoing Saturday forenoon 全てが上手くゆく幻に ここに来てまだ 囚われている ...

Read moreDetails

0821_a

アルデバラン燃え盛る 太陽より遥か向こうにいる 赤く点滅する星たちは もうすぐ終わる定めにある 君が生きたその一生は 君自身に何を与えただろう オレンジにきらめくその熱は 何かを叶えたあとの光か 摂氏マイナス10を切る この冬はひどく饒舌である 銀色に弾ける電線が あらゆる言葉を切り刻む 僕が消えるその一瞬に 僕自身は何も感じぬだろう まっ黒く抉れる土の上 悲しみ 怒り いつかは果てる この命が止まって ほどけ落ちゆく先で 巡り戻れぬとして それでいい それが正しい 出会えた者たちよ 出遭えなかった存在よ またいつか なんてない さよならだ いまだ未観測の星たちよ 誰の目にも留まれない今日を リゲルよりも強く青く 瞬いて泣いて生きるがいい もう戻らぬ感情たちよ その名前も思い出せないままで 光よりももっと速く 燃え尽きて落ちて消え果てればいい アルタイルが飛んでゆく 太陽より遥か向こうをゆく かつて対を成した鳥は今 笑われ堕ちる定めにある 誰が生きて死ぬ一生も この宇宙はどうでもいいのだろう 帰るべき方角照らし出す 北極星すら歳差で逃げる ...

Read moreDetails