Tag: The Otals

このまま、海まで

いま通り過ぎた交差点を 曲がれば海だと看板が告げる そんな気配もなく あたし土地勘もなく ただ取りこぼした夢のように 車酔いのふりして 窓にもたれている 戻ろうよなんて、子供みたいに 駄々をこねている あんまりに情けなく それでも口をつく 涙のように 溢れるように 子供の頃なんてべつに知らないけれど いま少しイメージが見えるよ このまま海まで 連れてって いま通過中の低気圧を まるで仇みたく恨んでいる 季節外れのあたしたちは 自分で来たのに取り残されたよう ...

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秋を急かす100のこと

旅人みたいな大きなトランクに 無難なよそ行きの笑顔を余分に詰めてる 友だちに合わせて頼んだケーキを 半分残す自分の姑息さに胸を痛めてる きらり きらり 迷い込んだうさぎのように 駆け出していく日暮に追い越されて 神様ひとつ 聞かせてください みんなを元に戻せますか 遮断機の向こうで健気に待ってた 幼い照れた笑顔に決意が揺らいでる 理屈っぽいせいで可愛くなれない 歓楽街を遠く離れて思い浮かべている ひらり ひらり 色づいては散る彩り 目を離せば消えてしまいそうだ ひとつ ひとつ 思い出す昨日のこと もし間違った世界だったって ...

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リズのきもち

大講堂で初めてキスをした アラジンみてえだ きみはお姫様で 方や俺は元が評判悪いんだって カラオケ屋で始発待ちの 陰口なんて ほっときゃいいのに ビミョーな顔して だって本当は優しいのに きっと俺は 忘れてしまうんだろう 君から教わったこと ダーツの投げ方 外国の言葉も いつまでも 渚のように遠くって 横顔しか知らんかった 世界一可愛い 俺の好きなひと 工業地帯の煤けた町で暮らした ...

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電気軌道よ春を行け

あの漫画ってさ‥ きみ 意外に長いよね、まつ毛? えっとなんの話? あ そうだ!ママレード嫌いだっけ? 大事にしよって特別にしまった チケットは行方不明 いっつもそうだ ねー 探してみせて のぼり/くだり エスカレーター 手を振ってすれ違う瞬間に きみは仕切りを飛び越えたんだ 奇跡なんかじゃないだろう 運命なんかで片付かないだろう 見つけたんだよ ふたりで選んで わかったふりしないでね ずっとずっと驚いて欲しいんだよ わかんねーって言って、呆れたみたいに 実は2人似てない 好きな漫画も映画だって 宇宙人なんてあだ名だけおそろいです ...

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ムテキノユウエンチ

ようこそハロー風船をどうぞ ここはなんでも叶うカジノ 夢も希望もチョコだってある でも他言無用 約束さね おいで 他責思考の暇なお嬢ちゃん ズルもイカサマもあるかボケが! 手元見ずに色目使ってよォ 負けが込んでも騒ぐなクズが! どんどんカジノは飲み込んでく 追いかけあって転げ落ちて 天使が向けるマシンガン 真っ赤な薔薇で彩るカーペット あれあれ?ねえ大丈夫ですか? こっちに出口はありませんが とはいえここまで来ちゃったなら この船の行き先はひとつです レイズ オア コール コール オア フォールド もしもしこちらはサービスセンター ...

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ウチは泣きそーです

「宇宙飛行士です」 そう答えてた そこにいない理由 尋ねられるたび 興味もないのに 借りた図鑑で 星の名前に 詳しくなった 気づけば内緒 日曜は憂鬱で アニメも共感ができないドラマ 褪せてぼやけた記憶だって 原色の絵の具で塗り直して 「ねーこんな風だったかな?」 なんて笑わせたりしたかった 結局大人になったって 背丈はあんま伸びんかった あー久々擦りむいて 痛みもないのに ウチは泣きそーです ...

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ドラゴンなんだって

月曜でもう3週間 欠席の理由も訊かれなくなった 浮き立った町の雰囲気 カーテンを潜ってくすぐったいや あたしやっぱりドラゴンなんだって 自分のこともわからなくなって センチメンタルなんちゃって ちょっと無理してしまいそう もうどうにもなんないや ほら コンビニのキャンディー転がした 一生この町を出らんないのかな あたしじぶんが嫌になってしまいそうです 君のことすらわからなくなって 「やっぱ嘘です、なんちゃって!」 それは無理がありそうか 「やっぱりあの子 そっとしといてほしいんだって 自分のこともわからないんだって」 噂話になっちゃって 余計出づらくなりそうだ ...

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