Tag: 本多夏子

ひとり五色台

海さえ跨(また)ぐ 橋もあるのに 心ひとつが なぜつなげない ひと針、ふた針 島と島とを 縫うように 引き波残し 船がゆく ひとり瀬戸内 五色台 寺から寺へ 遍路の道に 思い断ちきる 下乗(げじょう)の石よ ひとひら、ふたひら つれていってと 言うように わたしの肩に 散り紅葉(もみじ) ひとり瀬戸内 五色台 虹には足りぬ 名前に惹(ひ)かれ 宿もきめずに 夜汽車を降りた ひと色、ふた色 いつか昨日の 雨もやみ 明日(あした)の虹が 見えますか ひとり瀬戸内 五色台

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面影の母

女ひとりで 娘を育て 苦労したねと 言われるたびに 母は黙って ほほえんでいた あなたがいたから 頑張れた 悩みはしたけど 苦労じゃないと 面影恋し 母の声 何も持たせて やれないけれど 持っているわね 大事な心情(こころ) 母はそう言って ほほえんでいた 親子に恩義(おん)など ないんだよ 花嫁姿が 見られただけで 面影恋し 母の声 ひとの心配 しなくていいの ひとり気ままに 暮らしてゆくと 母はわたしに ほほえんでいた あなたは頑張り すぎるから 身体(からだ)のことだけ 気をつけるのと 面影恋し 母の声

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