Tag: 黒木渚

ブラウスと亡霊

ならんだ石ころみたいに隣りあう孤独でいよう ほろんだ文明みたいに救えない2人でいよう 勝手に見つけて運命と決めて 恐々と愛して燃え尽きた この耐えがたい淋しさを愛せたら まともな思い出になれるかな あの日見えていた未来が 幻想のようにゆがんで 壊してしまえたらそれでいい アルバムから抜け落ちた記憶が肩を叩いて ふり返ればそこには誰も居ない 乾いた口笛みたいにさりげない2人でいよう 無くしたピアスみたいにふぞろいな2人でいよう 映画も小説もかなわないくらい どこまでも愛して愛された もう返らない願っても叶わない 忘れることさえも ああ 真夜中に自転車で追い越した夜風 朝焼けの残像が今も 風にふくらんだブラウス ...

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Magnolia

きれいな子ばかり得をして 私はいつもないがしろ ちやほやされたいわけじゃない ただ居るのを認めて欲しいだけ 決して声には出せない 真っ黒な私の願い 嫉妬まみれのすさんだ春に 目のくらむような白さで死んでゆけるようにと 凛々しく咲くマグノリア さえない私にも福音を 真面目なだけじゃ損をする 優しいだけでは埋もれてく 上手なやり方知ってても ズルしてるみたいで嫌なだけ 誰にも知られたくない 美しい私でいたい 矛盾だらけの沈んだ春に 冴えわたるような白さで死んで行けるようにと 音もなく散るマグノリア 愚かな私にも福音を ...

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死んだ文豪に恋をした

死んだ文豪に恋をして 行間さまよってデートした 透明なつまさき見ないふりして 冥界のほとりでハグを 人は恋と革命のために生まれたこと 夜になれば重なる「やみ」はぬかるんで 雨を言い訳にして私の部屋に来て 口説いてるんだよ眼をそらすなよ 汚れちまつたランジェリー 恋をしても一人 死んだ文豪に恋をして ペン先で突っついて合図した 曖昧な結末じらさないで 明快な言葉で愛を 君は嘘と憧れのはざまをさまよう人 眼を覚ませば不埒な夢はあばかれて 夜をいいわけにして朝までそばにいて 誘ってるんだよ さあ答えてよ 汚れちまつたランジェリー 愛を人質にして死ぬまでそばにいて ...

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