此処は何処だ?
日の当たらぬ場所
いつだって私の
傍にあった
一歩踏み外せば
それだけで迷い込む
光なくして影はない
影を生まぬ光はない
「私は…、本当に一期一振なのでしょうか」
映すのが己か?
映るのが己か?
思い知らされた
存在することは
なんと
覚束ぬことか
今の 私は……
「あの方を思い出せない。
…本当に共に過ごしたことがあったのでしょうか?
がらん… としたこの内側には、何が在ったのでしょう?
豊臣の最期と共に焼け落ちてしまう前には、確かに在ったのでしょうか?
……私は、誰に問うているのでしょう?
私自身…?
中身を持たぬ私自身に問うて、何が返ってくるというのか……
がらんとした部屋と同じ。
ただ己の声が虚しく響くだけ。
それだけだ……」