Tag: おいしくるメロンパン

旧世界より

白濁の太陽が風に光っていて どこへでも行けそうな気持ちに嘘ついた 子供の頃住んでいた街と同じチャイムで 壊れたオルゴールを捨てて歩いていく 泣いてばかりだったね たくさん嘘ついたね 最後の最後までそうだった 話しそびれたこと 今更になって浮かんでくる あなたには聞こえない声で 呼んでみた その名前を 凍てついた夏空に触れて 記憶はそこで今日も途切れていく 眠りから覚めたって それはまた夢 どこまで歩いたって 油絵の砂浜 忘れることだけを 生きる術にしてきた それをあなたが隠してしまった ...

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海馬の尻尾に小栴檀

晴れた日には うんと遠くへ行こう 貝殻の上 蹄鉄高らかに 晴れた日には うんと遠くへ行こう 悲しみの種 海岸に振り撒いて 帰らぬ人 あの人みたいに 美しく清らかに 思い出の窓を開いて 忘れようなにもかも 大切にするために ここに埋めよう 掌で咲く花はない 忘れよう 病める日には ぬるい風を浴びよう 灰の舞う空 ...

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額縁の中で

昔日のワルツと 風に靡くスピカ 君と呼吸を揃え 踊ろう さあ目を閉じて 嗚呼思い出せはしないが たしかにこの景色を知っている あの角を曲がった先に 絵画市があるはず 額縁の中で揺れる木漏れ日に 懐かしい風が薫る 歪みのない世界地図 病名を消したカルテ 愁のないシナリオ 油を垂らしたら 飾られた世界から 君だけを奪うから 筆のリズムに乗せて 踊ろう さあ手を取って 嗚呼思い出せはしないが たしかにこの景色を知っている ...

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フランネル

単純なことですら 難しく考えてしまう癖 斜め色の夕景に やがて僕も染まりはじめてる 焼きついたまま 君をくり抜いてずれる街 言えないままに飴玉は溶けて 甘ったるいだけ 不確かで不揃いの言葉じゃ 選んでも選んでも 渡すもんがない ねえどうしても ありのままを吐いても ほつれた先から 風に舞う紅いフランネル 欄干の影を跳ぶ また一つ飴玉が落ちる 頭の中で 街をくり抜いてずれる君 眩しくてまだ ...

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沈丁花

雨降り意を決しとかく こんな日に限って不覚 術なく待ちぼうけ 師走に咲く沈丁花 月冴ゆる季節 厚雲飲み込んで一節 差し詰め北時雨 日暮れ歩く町外れ 悴む指先から 奪われてゆく夜に溶けてゆく やがては世界の温度も 冬の配下に成り下がってしまう 氷点下 硝子になった五臓六腑の シュプレヒコールを 品性を欠いた感情じゃ 融点は超えないよ 透明な手口で以って 奪われたこの手の温度で 孤独な寒月に今 ...

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式日

城壁の向こうから 風船が空を覆う 君はまだ眠る 城壁の向こうから 知らない歌が聞こえる ブランケット被っている 微睡む君の枕元へ ラジオダイヤル 0khz 待ち合わせは 12:40 お間違えないように ご注意ください 挨拶がわりのワルツ 腕時計は 12:40 コーヒーはアメリカンで ご賞味ください ファンファーレ 定刻通り式が始まる ...

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砂の王女

果てを目指して さぁ 砂に足を取られようとも 君が忘れた全部を 僕が思い出せる間に 一夜限りの雨が 白紙に戻した世界地図 ただ一つ覚えてた 胸の奥にかかる虹のふもとへ The castle walls are like a birdcage that shuts you in 深い影の忍ぶ窓辺に ...

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眠れる海のセレナーデ

ボロ切れの袖を透かしてみた空 凍てついた風と溺れそうな太陽 ただ冬の海に還りたくなるの きっと前の世界でまだ私を呼ぶ声が 鳴り止むことを忘れたままでいる 青くなっていく月が頬を撫でながら 二人の影は一つ 柔らかな痛みの中 随分と長く引きずったものだ 離さない方が楽だっただけよ ただ冬の海に還りたくなるの ずっと先の未来でまたあなたに出会うだろう そしたらきっと全てを思い出そう 青くなっていく月が頬を撫でながら 二人の影は一つ寒空に揺られながら 目を閉じても眩しく刺す様に 途切れることのないその瞬き 嗚呼 今も永い夢の中 目を覚ます事はない 遠ざかっていく船の帆は靡かないまま 濡れた裾が乾くこともないまま 何度だって聞いてるよたしかに聞こえてるよ ...

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渦巻く夏のフェルマータ

やがて魔法から醒めてゆく 排水口に夏が渦巻く 君の気配が薄れていく 僕を残して 定まった被写界深度 下回った低い融点 頬を伝ったこれが最後 まだ僕は取り繕って 永遠だった筈の想いを 気化熱が奪っていく 雨も涙も 栓を抜いたプールの思い出も 行き着く先は海の果て 君はもう流れ着いた? 僕をここに残したまま 季節は今ゆっくりと動き出した 風が冷たくて 魔法が解けていく どんな言葉も あの日拾った貝殻も ...

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