Tag: 川中美幸

あなたの口ぐせ

爪先立ちで のれんを外(はず)し ふと 気が付けば 母の癖(くせ) 心の中で 思わず笑い 涙が こぼれた あなたの 口ぐせ くり返す 大丈夫 大丈夫 何があっても 大丈夫 雨のち晴れよ 人生は 何をするにも 暦(こよみ)をめくり あら 大安(たいあん)ね いい日だわ 袖(そで)ふれ合うも 多生(たしょう)の縁(えん)よ 誰にも やさしく あなたの 口ぐせ 思い出す 大丈夫 大丈夫 何があっても 大丈夫 明日(あした)はきっと 日本(にほん)晴れ あなたの口ぐせ お守りに 大丈夫 大丈夫 何があっても 大丈夫 見上げた空に 母の顔

Read moreDetails

ブランデーグラス

これでおよしよ そんなに強くないのに 酔えば酔うほど 淋しくなってしまう 涙ぐんで そっと時計をかくした 女ごころ 痛いほどわかる 指で包んだ まるいグラスの底にも 残り少ない 夢がゆれている よせばよかった よせばよかったけれど 恋は知らずに 炎えてしまうものだよ 白い小指 ためらいながらからませ 未練ごころ 打ちあけたおまえ 雨はふるふる 部屋の中にも胸にも いつか来そうな 別離を告げて こころひとつ 傘はふたつにはなれて 逢えば夜は つかの間に過ぎる 雨はふるふる 遠く消えてく背中と いつか来そうな 別離を濡らす

Read moreDetails